100年先の未来にも対応できる修復を目指して
「漉きはめ」とは紙漉きの流し漉きの技法を取り入れた修復技法で、修復する資料に資料と同質の紙原料液を流し込み、虫食い・破れなどの欠損した箇所にのみ新しく同質の紙を形成して修復する技法です。裏打ちや手直しなどの従来の修復方法ではなしえなかった様々な特徴があります。
漉きはめの特徴

資料は傷つけずに色合い・手触り・風合いを損なう事なく可逆性のある修復方法です。
和紙・洋紙を問わず、これまで高度な技術とコストが必要とされていた破損のひどい作品や両面に文字が書かれた資料の修復や、酸性劣化のひどい洋紙等の修復が低コストで可能になりました。
大きなサイズから小さなサイズ、極薄から極厚まで風合いを損ねる事無く様々な資料に対応できます。
従来の裏打ち修復では必ず表面に段差がありましたが、「漉きはめ」は段差が全くなくフラットに仕上がるため資料の風合いを損ねません。
漉きはめの溶液
漉きはめ溶液
紙の原料:雁皮(がんぴ)漉きはめに使う溶液は、国産の最高級品質の楮〔こうぞ〕(※1)、雁皮〔がんぴ〕(※2)等の原料を使い、自社で生産します。
そのため資料にあわせた細かい調合が可能です。また和紙以外のパルプや竹紙などの、あらゆる紙質の資料に対応できます。
漉きはめの実例

資料の上から同質の紙原料液を全体に流し込みます。大切な資料がにじんだりしないように事前にニジミ止め処理を行います。例のような両面書きの資料の場合、裏打ち修復では片面が隠れてしまいますが、漉きはめ修復液ではこのような両面のものでも、資料上に原料が被ることなく修復することができます。
漉きはめ後、資料裏面に被ることなく欠損部と周辺部に新しい紙が形成されています。周辺部を利用して資料保護のため一回りサイズを大きくすることもできます。
流し込む原料を資料の状態に合わせて調合しているので、古色などの風合いを生かした仕上がりになっています。
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